以前通過したカタシロについてのメモ
(シナリオについて大言及しています。ほぼ全部書いてます。
通過された方、内容把握している方のみお読みいただけたらと思います)
探索者:田田砂取(でんでん さとり) 24歳
真面目で物静かな書店員。
と見せかけて、実は書店の店長のストーカー。
店長を追いかけて入店し、手では仕事をしつつ心は常に店長の方を向いている。
店長への執着が気持ちの悪いものであることは自覚していて、
周りに悟られまいと常に無表情を心がけている。
店長が生きている現世においてなるべく長生きすることが目標で、
食事内容を「はなまる」という健康管理アプリに記録している。
毎日ログインすることでアプリのカレンダーに花丸を押してもらうことが、
店長という存在以外の唯一の生き甲斐である。
1、囚人のジレンマ
田田の答え:黙秘
医者の答え:自白
→私が10年牢屋行き。
・黙秘を選んだ理由
もし私が自白を選んで医者が黙秘を選んだ場合、相手だけ10年収監されることになる。それは荷が重い。実際、10年収監されると決まった今、私は医者のことをその10年ですごく恨むだろうなという気持ちになっている。
自分の「恨み」は自分でディテールが把握できるけど、他人から自分に向けられる「恨み」のすべては把握できない。それが怖い。恨まれるより恨むほうが私は楽。10年恨まれるより、10年恨む方を取る。
(正直緊張していてちゃんと図を読めてなかった。後で問題の内容ちゃんと理解した)
(それでも、今訊かれても多分黙秘すると思う)
2、テセウスの船
(以降まとめるの難しかったのでほぼ書き起こし)
田「同じ船じゃないですか…?記憶がないなりに覚えていた知識があるんだけど、人間の細胞って定期的に生まれ変わっているらしい。だから自分の体って、前の自分とは厳密にはパーツが違うってことになる。でも、新しい細胞に変わっても田田砂取は田田砂取でしょう?それと同じかなって」
医「なるほど。君は船と人間は同じだと思うんだね」
田「船が人間みたいっていうよりかは、人間が物体、だと思う。だから物体って意味では、同じかな」
医「なるほど。じゃあ君は、パーツが置き換わっても同じものだと。その、"同じたらしめるもの"ってなんだと思う?」
田「……構造?」
医「というと?」
田「ちっちゃいパーツひとつひとつは違うものでも、同じ形に組み上がってるから……え?!急に不安になってきた」
医「考えを変えたいならそれでもいいよ」
田「だってこの話って、今自分が言ったことの筋を通そうとすると、同じ構造のものはみんな同じってことになっちゃうかも。私と同じ構造で"人間"って物体を作ったら、田田砂取がいっぱいできちゃうかも」
医「君はそれは違うものだと思うのかい?」
田「まず私という田田砂取がいて、目の前に全く同じ構造の田田砂取がもうひとついたとしたら?私はここにいるのに、目の前の人間も私です、とはやっぱりならない気がする」
医「じゃあ君の最初の話とは相反するね」
田「ちょっと待って。もうちょっと粘らせて」
医「ゆっくり考えよう」
田「オリジナルとレプリカの違い、みたいなことになってくるのかな」
医「オリジナルにしか宿らない、魂のようなものがあると?」
田「って思いたいけど、そんなものが自分の中にあるとも…あんまり思えない」(ここ、今聞き返すと魂の有無がオリジナルとレプリカの区別になるのでは?というかなり納得のいく自然なジャブをもらっているのに、田田の自己肯定感の低さからその答えに辿り着けていない)
医「今の話を船に置き換えて、テセウスの船の設計図を使って全く同じ構造の船をもうひとつ作ったとして、君はそれはテセウスの船だと思うのかな」(私がぐちゃぐちゃになってきているので初めに戻って訊いてくださっている)(ということにもこの時は気づいていない)
田「テセウス2号って思うかも」
医「ということは同じではない、と」
田「はじめのひとつであるかどうか…ってことなのかな」
医「話を整理してみると、君はすべてのパーツが入れ替わったときに、それを同じたらしめるのは構造だと思うが、構造が同じものが複製されたときは、本物とレプリカという判断になると…?」
田「うん…先生、これ私めちゃめちゃ破綻してませんか」
医「まあ人間の考えというのはそう簡単にまとまらないものだ」
田「先生はどう思うんですか?」
医「私は、パーツが置き換わっても船自身に旅をした記憶が残っていれば、それはテセウスの船だと思う。まあモノに記憶はないがね」
田「わたし田田砂取の記憶ないんですけど、じゃあ私、今田田砂取ですか?」
医「君はなかなか難しいことを言うね。まあ君は今パーツが置き換わっているわけじゃないから、田田砂取なんじゃないかな」
田「そっか…置き換わってなくてよかった」
医「ははは」
2と3の間
・何か思い出したことはあるか?という問いに対して
田「手。多分本屋で働いてたんだろうなって思うんだけど、私の手じゃなくて、別の人の、レジ打ちの手。いろんな角度から見てる、レジ打ってる手。同じ人の手。それだけ覚えてる」(店長の話をしたかった)
片桐(入院してる子)「すごく断片的に思い出されたんですね。あなたはレジ打ちの人の手を注意深く見ているような人だったと…」
田「怖くない?その人」
片「僕、医者になるのが夢なので、退院したら本屋に行って医学書をいっぱい読みたいんです。その時は田田さんが働いてる本屋に行きますね」
田「ありがとう。客は多いほうがいいからね」
片「僕としては客じゃなくて友達として…」
田「ごめんなさいそれけっこう片思いだったかも」
片「…じゃあ書店員と客でいいので、いつか退院したら僕が医者になるための本を選んでもらってもいいですか?約束ですよ」
3、臓器くじ
田「この人くじに当たらなかったら健康なんですよね?死刑囚とかでもないんですよね?」
医「健康だね。くじは死刑囚に当たるかもしれないし、当たらないかもしれない」
田「え…だめじゃない?」
医「健康な人が殺されるから?」
田「自分の意志でくじに参加してるなら話が変わってくるかもしれないけど、そうじゃないんですよね」
医「そうだね」
田「臓器移植が必要な患者さんっていうのは、移植ができなくてそこで亡くなってしまうことがあっても、それがその人の寿命だって受け入れるしかないと思う。ただこういう言い方をしてしまうと、くじによって殺されることがあっても、それもその人の寿命だって言えてしまうのかな……いや、でもだめじゃない?」
医「そうか。じゃあ君は移植を待っている人間たちは、自分たちの責任だから、誰かを殺してまで助かる仕組みはよくない、そう思うんだね?」
田「そう思う」(今考えると病気って誰の責任でもない場合が殆どじゃん…!と思うが、めちゃくちゃハキハキ答えていて冷や汗かいた)
医「なるほど。じゃあ例えば移植を待っているのが君の身近な人間だとしよう。家族や友人やお世話になっている人だったとしても、君は同じ回答かな?」
田「同じ回答。絶対」
医「じゃあ君がくじに当たったとしたら?君が死ぬことで君のまわりの人間が助かるとしたら?」
田「嫌」
医「自分が死にたくないから?」
田「命を助けるって行為が重すぎると思う」
医「重すぎるって?」
田「自分がくじで殺される側って言われると、ちょっとうーんってなったけど…逆にもし自分が移植を待っている側で、誰かに助けられたとしたら、ちょっと抱えきれないなって思う。他の人はどうなのかなあ。私は私のことしか分からないから、私はこう思うって基準でしか考えられないけど、誰かの命を犠牲にして生きていくってことが重すぎて……」
医「なるほど。受ける側の人間の気持ちを考えてって感じかな?」
田「うん…でも"申し訳ない"じゃなくて、重すぎて勘弁してほしいって感じです」
4、最後の選択
ベッドに横たわるもうひとりの自分を見た時の反応
「船じゃん」
田「これ(私の体に片桐の脳を移植しようとしていること)って片桐さんは知ってるんですか?」
医「知らないよ。言えるわけがない」
田「片桐さんがそうしたいんだったらいいです」
医「そうか…ちょっと待ってくださいね(KP)」
田「はい(迫真)」
医「じゃあ君は息子がいいと言ったら体をくれると言うのかね?」
田「正直ちょっと今、先生に怒ってる。それは勝手に田田2号にされたからっていうよりかは、心理テスト、全然記憶を戻す治療じゃなかったじゃん…って。ああいう回りくどいことをして私の考え方を測られてたっていうのが腹立ちますよね」
医「あれは本当になんていうか…君との話のトークテーマといったところだったんだ、信じてくれ」
田「あの心理テスト3回受けて思い出せたのレジ打ちの手だけだったんですけど」
医「人の記憶というのは人それぞれだからね…」
田「先生は船の話をした時に、パーツが全部入れ替わっていても、旅をした記憶があったらそれは元の船と同じだって言ってたけど、私もそれはそうだと思うし…正直全然いいですよ、あげていいと思ってる。だって私今こうして喋れてるし、動けてるし、細胞なんて生まれ変わるから…そんなに肉体のオリジナルとか、関係ないのかなって……?」
医「機械の体について不安はあったりするかい?」
田「うーん……不安はないわけじゃない、けど、これすごくよくできてる体なんですよね。きっと」
医「ただちに支障が出ることはないと思う。ただ私も初めてのことで、この先どうなるかは正直保証できない」
田「アフターケアは」
医「そこは誠心誠意尽くすよ」
田「私、はじめのひとつであるかどうかが重要で、その後のものはレプリカって話をしたと思うんですけど。なんかそれって違ったかもなって今、思ってて。うーーーん船には脳みそがないから…ちょっと説明難しいんですけど」(脳みそが重要って答えを導き出しかけてるんだけどうまく言えてない)
田「ガワが私でも片桐さんが入ってたら、それは片桐さんだと思うし…うーーーん。でも、私過去の記憶がもう無いじゃないですか。かつ体は2号になってるわけじゃないじゃないですか。それって、私が田田砂取たりえる要素、もう私に残ってないなって思ってて」
医「なるほど。記憶に関しては時間をかければ必ず元に戻るだろう。だから君の言う、記憶があれば田田砂取たりえるのであれば、君は今後必ず田田砂取に戻れるって保証するよ」
田「正直私先生に腹が立ってるだけで、やっぱり全然あげていいって思ってて。まだうまく説明できないんですけど、私そのベッドに寝てる体にあんまり執着がないのかもしれない」
医「記憶さえ引き継げれば、元の体でなくとも君は自分であると、そう思えるわけだね」
田「うん」
医「心は決まったかな?」
田「これ、本当に片桐さんに言わなくていいんですか?」
医「息子には説明しておくよ。納得してもらえると思う」
田「退院したら私の働いてる本屋に来てくれるって言ってたんですけど、私と会ったら片桐さんびっくりしません?」
医「目覚めたときに説明するよ」
田「やっぱり先生やってることえぐいわ。私にも色々やっちゃってから説明するし、片桐さんにもやっちゃってから説明するし、後手後手ジジイになっちゃってるけど大丈夫ですか」
医「私はとにかく医者として父として息子を救いたい一心なんだ。(事前に)息子に説明したら、息子は優しいからきっと賛同してくれないだろう。だから私のエゴと言ってしまえばそれまでかもしれない。それでも私は息子を救いたい」
田「先生は先生のためにこれをやるってこと?」
医「今君が悩んでいるのは息子の意思を確認していないから?」
田「片桐さんの目が覚めて何が起きたのか聞かされた時に耐えられるのかなって。でも、退院して医者になりたいってめちゃめちゃ聞いてたから、それは叶えてあげたい」
医「さっきも言ったが息子は優しいから、息子に事前に相談しても賛同してくれないと思う」
田「私に悪いから、申し訳ないから賛同しないっていう優しさなんだとしたら、私はそんなに田田1号の体に執着ないから……。気にしなくていいから、すごい高い本いっぱい買ってくださいって伝えてほしいかな…」(?)
医「息子には事後報告でいいと?」
田「今言うことってできるんですか?」
医「眠ったばかりだから難しいかも。でも後日また息子の意思を確認してからという方法も取れなくはないだろう。ただそうなった時に息子が納得してくれないかもしれないことが、私は怖い」
田「本人に選ばせることが酷、って時もありますからね」
医「私もそう思うよ」
田「いや、いい。やっちゃいましょうもう。やっちゃおう」
医「心は決まったかい?」
田「はい」
田田の選択:体をゆずる
最後のRP:
田「正直言って何かが変わった気持ちはあんまりなくて、体ってなんなのかな?って思う……」
KP「以上でいいですか?」
田「はい……」
〜完〜
(ここ、どうすればよかったの?という気持ちしかなかったが、他の人のセッションを見てたら素敵な締め方がいっぱいあって頭を抱えた)
感想戦で話したことなど
・焦った~~~~!そういう話なんだ…!
・船と人間を同じステージに上げて話し始めた時、脳の有無が船と人間で決定的に違うから、そこを同列にしちゃうと矛盾が出てくるなっていうのに話しながら気づいてしまって「やばいことなってきたな」と思った
・KPさん「正直片桐との関係性があんまり良くなかった(仲良くなかった)から体渡したのは意外だった」
円「仲良い人だったらもっと迷ったかも。助けてもらうことに対する、相手からもらうものの大きさが田田的にはネックだったから、逆にある程度距離があったから決められたのかも。あと2号の出来がよかったから割り切って考えた」
KP「(全体的な受け答えは)田田さんの考えですか?」
円「正直かなり私の考えに近い。自分に正直に答えてたら結果的にひねくれRPになった。自分に対して常に矛盾を抱えていて、でも最終的に割り切り方はパッションみたいなところ、合理的でないところがあって、そこが…味がある」(自己評価↑)
KPさん「合理的に色々逡巡するんだけど最終的には感情…パッションに帰結してましたね」
円「パッションというかあんまり頭よくないな」
円「片桐さんがめちゃくちゃいい子だった。だから医者の頼みを断った時に、医者から恨まれるんじゃないかなと思った。田田はストーカーだからそういう負の感情のやばさをわかっていて、恨まれる方が嫌だと思ったんじゃないかな…」
KP「合理的かつ感情的な…」
円「めっちゃ矛盾パッション女みたいになってますが」
円「最後の選択について話し始めた時は、片桐がかわいそうなことになっちゃうから本人の意思を尊重したほうがいいんじゃない?って本当に思ってたんだけど、確認したら片桐は絶対断るだろうっていう医師の話には『それは絶対にそう』と思っちゃって。本人からしたら元気な体になりたいって気持ちがあるのに善性みたいなもので断らざるを得ないことを、わざわざ確認させるってすごい残酷というか。本人のためを思って確認させるってていで話し始めたけど、"自分がとんでもないことに加担する責任"を片桐本人に背負ってもらうみたいな狡さがあるのかもしれないと思って、結果的に『やったれ』になってしまった。
"本人に確認させる方法もある"って提示してもらった時、正直助かるなって思った自分がいた。本人に決めてもらったほうが楽だなって。そう思った時に、やっぱり私は自分のために片桐の意思確認がしたかったんだなって、思いやりから来てる気持ちじゃないなって気づいた。そういう自分の小狡さにフォーカスした結果、本人確認はやめておこうと思った」
田田が話すたびに自分の思考の屈折率みたいなものを自覚させられたし、この文字起こしを公開すること自体が私の思想の露出、とも言えるのでかなり恥ずかしい。
とにかく他人の感情に対して「荷が重い」って思ってるんだな…。
KPをやってくださったおだやかさん、立ち絵を描いてくださったわしゃびさん、ありがとうございました。たくさんたくさん助けていただいて楽しいセッションになりました。愛